「つまり、グローバル資本主義に対抗してローカルな固有性と多様性を守ろうとするコミュタリアンによる、メッセージ性の強いアートと、アートと名の付くものなら原理的に金に変換するアートフェアーそれは「選択の自由」を金で購うリバタリアンの楽園でもあるーの狭間で、また言い換えれば、長い説明分を丁寧に読まないと作品が理解できないほど、極端に言語(英語!)に依存したアートと、貨幣価値への変換が決定的なのでその内容のほうはいたってオープンなアートのあいだで、前者の立場から出発したとはいえ、そのポジションを標榜するためにはもはや有名ーデイヴィッド・ズワーナー所属のーブランド作家となったアーティストが、最初期から最新作までを使って個展を開いた、と。」
「アートは差異を養分とし、人の悲惨は金になる。だからアートは資本主義と相性が良い。地球上の数知れぬ悲惨を養分とすればアートに終わりはない。こうして植民地主義批判、資本主義批判は植民地主義、資本主義に簡単に転じる。」
シニシズムを超えて「ヴォルフガング・ティルマンス」展 清水穣より