「キュレーションの現在 アートが「世界」を問い直す」より |
新たなる価値を将来に向けて付け加えることをキュレーションの意義とするならば、当たり前のことですが、とにかく勉強すべきです。アートの動向が現在どうなっているのかを把握することは勿論のこと、例えば、現下の社会情勢はどうなっているのか、言論界ではどういった話題が主に議論されているのか、等々、つまりは「現在の風向きを読む」ことが重要です。」
誰もがキュレーションできる時代に 土屋誠一
「あるテーマに沿って過去の作品を選び出し、展示空間に配置するとき、キュレーターは作品及びそれを取り巻く歴史の再解釈から逃れることができません。森羅万象を偏りなく取り上げることは不可能なので、取捨選択の判断をする必要があるからです。私はいま「過去の作品」と述べましたが、大抵の場合、キュレーションが作品に先立つことはないので、たとえコンテンポラリー・アートを扱うときであっても、キュレーターは何らかの歴史を編み直していると言うことができるでしょう。この作業は、キュレーションという営みに特権的なこととは思えません。そもそも歴史研究が絶え間なく歴史を編み直す営為だからです。したがって、キュレーションを介した歴史の編み直しというものを考えるとき、歴史学の知見が助けになると私は考えます。」
歴史を編み直す 桝田倫広
「震災後、キュレーションについて考えるとき、とりわけ「歴史」ということを考えますね。たとえば大正デモクラシーなんかでも、美術だと「自由でいい時代」一辺倒だけど、「自分の欲望を自由に発散してもいい」というその考えが、結局大陸への進出を支えた、という説が、日本近代史では出てきている。」
ディスカッション 日本からキュレーションの未来を考える 蔵屋美香