「地域アート」藤田直哉 編・著より |
「まちづくりと「地域アート」ー「関係性の美学」の日本的文脈 星野太×藤田直哉」より
「星野:まず言えることは、確実に揺り戻しがあるだろうということです。現在の非物質化した芸術が市民権を得て一般的なものになり、今後も数多く作られていくだろということは容易に想像できますが、やはりどこかの段階で物質的なものへの揺り戻しが起こってくるはずです。コンテンポラリーな作品に限ってみても、アート・マーケットを尺度として考えれば、非物質的な作品よりも物質的な作品のマーケットのほうが圧倒的に大きいわけですよね。他方、「関係性の美学」とそれに連なる動向は、「物質」を中心とするマーケットからこぼれていく作品を理念的に包摂するためのセーフティーネットのような側面がある。」
「「地域アート」のその先の芸術ー美術の公共性とは何か 遠藤水城×田中功起×藤田直哉」より
「田中:アンチ・スペクタクルのアートが良くてエンターテインメントがダメだというわけではありません。僕たちが現在使っている思考のフレームは信用ならないということです。長い年月のなかでは何が残っていくのかは誰にもわからない。」
「エステティック・コンディションー美学をかこむ政治や制度 藤井光×藤田直哉」
「藤井:市町村の合体と編入が流動化した時代ですが、裏を返せば、地域同士が戦い合う弱肉強食の世界が広がった。その前衛としてゆるキャラが登場する。」
「藤井:ゆるキャラもその一つだし、地域アートも数ある活性事業のオプションの一つにすぎない。生を求めるならなんでも取り込みますよ。
藤田:原発でもいいと。
藤井:原発でもよかった。」