「ユリイカ」バルテュス特集より |
「ー 制作に限らず、ご自身のお考えや姿勢も含めてバルテュスが受けたもっとも大きな影響はなんだと思われますか。お考えをお聞かせください。
春美:古い芸術作品や技術に敬意を払うこと、職人を褒めたたえること、エゴを取り除こうと試みること。
芸術作品というのは、どれだけ優れたアイデアをもっているか、どれだけ素晴らしい芸術家であるかということではなく、作品それ自体を存在させることなのです。その実現のためには、制作者は自らの存在を消す(エゴを取り去る)べきなのです。」
永山薫
(森美術館、会田誠展への抗議について)
「案の定、撤去要求の中に「これはポルノであって芸術の名に値しない」という主張が見られた。そもそも芸術とポルノの分水嶺を求めることほど不毛なことはないのだが、この裏返しである「これは芸術であってポルノではない」という擁護論同様にステロタイプで無価値なロジックである。
分断統治が統治のイロハであり、効率的な圧政であるという単純な事実がここでも反映されているだけで、いわば無自覚な奴隷同士の政治的闘争である「表現の自由は大切だが濫用すべきではない」という保守からリベラルまでが唱えるくだらないお題目と同じだ。」