「でも、これがアートなの? 芸術理論入門」シンシア・フリーランド著、藤原えりみ訳より |
「最近のクリスティーズのオークションで落札されたハーケのある作品は、バックローでさえも、「9万ドルをやや上回るという感動的な価格」と認めざるを得ない値段で取引されるようになってきている。このような資金にまつわる皮肉な事態は横に置くとして、私にはハーケの作品は一時的な効果しか持たず、社会的な背景が変わってしまえば、衝撃力を失う危険性がある。ゴヤの〈1808年5月3日〉のようにもっと強い視覚的なインパクトを備えた作品ならば特定の政治状況が変わってしまったとしても、長い時を超えて私たちに衝撃を与える力を保持できるだろう。ハーケ作品に添えられている説教を延々と綴ったような単調なテキストのパネルが、このような力を持つことができるだろうか。」