「シュルレアリスムと性」グザヴィエル・ゴーチエ著、三好郁朗訳 訳者あとがきより |
ゴーチエはその第一の原因を、西欧にあってはもっともブルジョワ的かつキリスト教的な道徳によって支えられてきた父権的で単婚的な家族制度が、いずれの革命運動をもってしてもついに乗り越えられなかったところに見ているようです。こうした性差別を温存したままでの性の解放など、所詮は、男性がよりよく女性を享有するための反動的改良策であるほかないのでした。
ゴーチエはまた、そうした革命運動においてさえも、性欲が常に性器的なものとされ、異性の生殖部位以外の対象に向かう欲望は〈異常〉、〈倒錯〉とされてきたことを指摘しています。かかる偏見が、結果として、男女両性をますますその〈役割〉の中に閉じ込め、男性による女性の疎外ばかりか、男性自身における性の抑圧状況までを保全してきたというわけです。」
「女性解放論(フェミニズム)といえば、意識的無意識的性差別者たるわれわれ男性がこの問題に関して発言しようとすれば、常に、自身の内なるこの差別者の存在を踏まえて立つほかないのだと思います。」