『「なぜ?」から始める現代アート」長谷川祐子著 |
「多くの方から「現代アートはわからない」という言葉を聞くたびに、私のなかの「なぜ?」は膨らんできました。私たちの感性は、普通に日々の暮らしをして、小説を読んだり、音楽を聴いたりする中で磨かれています。けれども、現代アートとなると、いきなりバリアができてしまう感じがあって、音楽や小説ほど簡単ではないと、思っていらっしゃるのではないでしょうか。」
「例えば20年前に人気のあった漫画や、50年前に流行ったファッション。その多くは忘れられています。けれど50年前に描かれた草間彌生の絵は残っている。」
「仮に私がここにドローイング(素描)を描いたとして、誰かがそれをデータに転写してアーカイヴに入れてくれたら、500年先までそれが生き延びてしまうかもしれないという点です。」
「日頃から社会状況に対して意識的な人が、モティーフとしてはただ女性のヌードだけ描いているとしても、作品にはおのずとポリティクスが滲み出てくる。アートにおけるポリティクスとはそのようなものだと考えます。」