個展の文章 |
10月23日(土)ー11月27日(土)
ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート
「リアルとフェイクとフィクションとー抽象画あり〼ー
作品はフィクションである。悪役の俳優が実生活でもそんな人だったり、不倫や殺人の小説を書いた人が、実際にそのようなことをしていたりするわけではない。
フィクションにリアリティを与えるために、技法、技術がある。下手な演技の芝居は、下手な演技にばかり意識が行ってしまう。映像は、編集によって、事実も違ったように受け取られるように作ることができる。
写真のように写実的に描くというのは、技法のひとつにすぎない。木を彫ったり、写真を撮ったり、版画を刷ったりするようなものであって、写実絵画を極めようと思っているわけではない。なめらかな曲面が出したいときに、丁寧に磨き続けるようなものである。
モチーフは、フィクションを構成するひとつの要素にすぎない。写真的写実的な絵画作品では、モチーフと技法に興味が集中してしまうのも仕方のないことかもしれない。
絵画であるということも、作品というフィクションを成り立たせるひとつの方法である。日本画制作をやめて、「現代美術」作品を作り始めたのは立体作品だった。だから「画家」とか「ペインター」と人に紹介されると違和感がある。今回の個展は、2mくらいの絵画を3、4点展示する予定なので、そう呼ばれるのもしょうがないことなのだろう。
松山 賢